人間の感覚は、意外にするどいものだ。あゆみはそう思った。 ―――この声は、彫野君。 あゆみの耳は、遠くにいる彫野の声を確実に捉えていた。立ち止まり、その声の聞こえてくる方向を特定する。 ―――こっち。 獲物を見つけた獣のように、あゆみは勢いよく走り出した。