恋の始まり

「だから、お前はこれ以上俺に関わるな。俺のそばにいるとお前まで避けられるぞ。」

「やだ。」

古城君の一見突き放しているような言葉の中に優しさを感じて私は自分でも驚くぐらいの早さで反応してしまった。

「は?」

古城君は機嫌悪そうに眉をひそめる。

「私の心配してくれる優しい古城君ほっとくなんて、私にはできない。」

「・・・勝手にしろ。」

古城君は顔を背けてまたスマホをいじり始めてしまった。

「うんっ!」

嬉しそうに返事をする私に古城君はスマホをいじる手を止め振り返った。

「でも、俺はクラスには絶対行かねぇからな。」

古城君なりの牽制だろう。ここでしつこく迫るとまた古城君を不機嫌にさせてしまうかもしれない。ここは私が折れることにした。

「・・・わかった。じゃあ、私がここに来る。古城君が自分から教室に行くって言うようになるまで。古城君、いつもここにいるの?」

「・・・まぁな。ここはあんまり人来ねぇから。」

「そっか・・・。じゃあ、またね!」

古城君は何も言わずにまたスマホをいじり始めてしまったけど、ここに来ることを否定されなかっただけ、きっと古城君に近づけたんだろう。

「俺に関わろうとするなんて珍しい奴・・・。でも・・・。いい奴だったな・・・。」

文化祭準備のために小走りで教室に向かう私にそんな古城君のつぶやきが聞こえることはなかった。