京香はすれ違った古城君のことを振り返った。

「何?あいつ、うちのクラスの不良じゃないの。古城玲とか言ったっけ?涼子、なんであんな奴と一緒にいたの?ああいう奴とは関わらないほうがいいわよ。」

京香はあからさまに嫌そうな顔をしていた。

「京香、あのね、古城君、私を助けてくれたの。」

「古城が涼子を助けた?」

「うん。知らない人たちに『今1人?遊ばない?』って連れて行かれそうになってたところを、古城君が助けてくれたの。彼がいなかったら、私、きっと今頃連れていかれてた。」

「そうなんだ。古城がねぇ・・・。まぁでも、助けてもらったことは感謝するに越したことはないけど、もう関わらないほうがいいわよ。あいつ不良で有名なんだから。」

「う、うん・・・。」

私がすべてを話しても、京香はどこか納得がいかない感じだった。京香のそんな態度に、私もどこかすっきりしないでいた。

「それよりさ、夏休み最後の夏祭り、思いっきり楽しまなきゃ!ね?」

私の返事の歯切れが悪かったのを気にしたのか京香が明るく言った。

「うん!」

私も夏祭りは楽しみたかったから、すっきりしない気持ちは置いといて、京香と一緒に人混みの中へと入って行った。