1番と2番バッターは、三振。
さすが強豪校…

私なんかとはたまの速さがちがうよ…っ

3番バッターが、うまくタイミングを合わせてセンターまえに転がして、塁に出た。

ツーアウトランナー一塁。
ここで四番の先輩が、堂々とバッターボックスにはいった。

「せ、先輩ー!絶対打ってくださいよー!」

先輩は叫ぶ私に向かって、無言でバットを軽くあげた。

一球目。
ぶんっ!
豪快にバットをふり抜いた

あーあ、全然タイミングあってないよ…
あれじゃあ打てない!

二球目。
あ、振った…!

打球はセンターが精一杯のばした手の上をこえていった。

「きゃああああ!」

打った!打った!
先輩がホームラン…打った!

ゆっくりとホームベースを踏んだ先輩のまわりをチームメイトがわーっと集まった。

「さくら!」

先輩は私と目が合うと、にっこり笑って近づいてきた。

「…ホームラン打ったから。俺と付き合ってください」

な、っ
先輩…///みんなの前で…!

「こ、こちらこそよろこんで!」

もういい!恥ずかしさなんて捨てて、思わず先輩の胸に飛び込んだ。

ああ、もう触れてもいいんだ。
12.19mなんかじゃない。0mなんだ。

「先輩…」
「ん?」
「大好きです…!」
「知ってるよ、ばか!」