何度もまばたきしてもその姿は消えることもないし、姿を変えることもない。
正真正銘の戒だ。
「……お前…帰ってたんかよ……」
何となく……あんなに会いたいと願っていた戒と、ここにきて顔を合わせづらくて
あたしは落ちた鎮痛剤の箱と掴まれた手の間で視線をいったりきたり。
「さっきな。それよりも頭―――痛むんか?
顔色―――悪いな」
戒があたしの顎を持ち上げ自分の方へ振り向かせる。
いけないことした覚えもないし、実際してないから視線を逸らす理由なんてないのに、何となく気まずくてあたしはふいと顔を逸らそうとした。
「……まぁな。寝不足から来てるだけだよ」
けれど戒がその逸らそうとしている視線を妨げるようあたしを真正面から覗き込んできた。
「単なる寝不足――――にゃ、見えないぜ?」
「うっせぇな……明日も治んなきゃ病院行くから安心しな」
ああ…
またも可愛くないあたし。
あたしの中で膨れ上がった不安は薬とともに一旦は落ち着いたものの、またも頭痛と一緒に蘇った。
具合が悪いのは
お前がよそよそしいからだろ。
お前が―――あたしの傍に居てくれなかったから―――
お前が―――……



