「……嬢―――お嬢!俺です!」
ふわり、と両肩を掴まれて引きはがされる。
あれ………この声……
「お嬢…?どうされたんですか……?」
戒だと思ってたのは
キョウスケで――――
キョウスケはひたすらに困惑顔であたしを凝視。
へ!!?
あたし、間違えた!!?
ギャァ!!
恥ずかし過ぎる自分のミスに顔から火が出そうになった。
だってこの二人何気に体型とか声の質とか似てるんだもん。(←言い訳)
慌ててキョウスケから離れると
「俺は戒さんじゃないです……寝ぼけてらっしゃるんですか……」
キョウスケは困ったように苦笑。
「いや……寝ぼけてたわけじゃねぇよ。お前…お前が『朔羅』とか呼ぶから!!」
あたしは八つ当たりにキョウスケにガン飛ばすと、
「俺……恐れ多くもお嬢のこと『朔羅』だなんて呼べませんよ…」
とキョウスケはますます呆れたようにあたしを見下ろす。
それもそうだよな…
じゃ、じゃぁ何だったんだよ……あの戒の声は―――
だってちゃんと聞いたし。
けど
やっぱ聞き間違いだったんかなぁ。



