過去に千里と家出したとき、千里のおっちゃんおばちゃん、そしてうちからは叔父貴とまだ健在だった雪斗と母さんと親父が総出であたしたちの行方を捜していた。
見つけたのは叔父貴だった。
あのときと同じ台詞―――あのときと同じ抱っこ。
「良かった。見つかって―――」
叔父貴は‟あのとき”も同じこと言って心底ほっとしたように頬を綻ばせてたっけ。
「見つかった……て?」
思わず顔を上げると、
「いや。さっき朔羅の姿を見た気がしたんだが、すぐに見失っちまって」
叔父貴は苦笑しながら頭の後ろに手をやる。
叔父貴と――――
まともに話したのは
ホテルで変な風に別れて―――以来だ。
あたしは……情報を盗むために叔父貴の好意を利用して彼の部屋に行く―――と言う酷いやり方で叔父貴を傷つけ、
それに対して叔父貴は怒っていた。悲しんでもいた。
いっぱい傷つけた。
それ以来……音沙汰なしだったのに、予想もできないタイミングで会っちまうことってあるんだな。
ロマンチックなことを言えば運命…てやつかもしれないけど
でも運命を受け入れられるほどまだ心の準備ができていない。
でも‟あのとき”と同じ台詞で、あのときと同じ温度の優しい手に
少しだけ運命なんてものを感じちゃう。
「誰か探してるのか?そんなに急いでどこへ行く」
叔父貴に聞かれて、あたしと千里は顔を見合わせた。
この場合何て答えればいいんだろう。
千里のおっちゃんとおばちゃんが離婚の危機で、云々……なんて他人の家庭のことそうペラペラしゃべっていいもんじゃないしな。
「お……叔父貴こそっ。どこかへ行く予定じゃないの?これから外出?」
「ああ、人と待ち合わせしている」
そっか…
偶然でも
‟あのとき”と同じ―――……繰り返される記憶の回廊―――…蝉の声に木々のざわめき―――何だか懐かしさがこみ上げてきた。
あの酷い「別れ」の後だって言うのに、叔父貴はあのときと同じ優しい腕であたしを抱き止めてくれて
無性に泣きたくなった。
その涙をぐいと押し込めて
「だ、誰かと待ち合わせ?」無理やり話題を変えるように聞くと
「ああ…」叔父貴は言いかけて千里をちらり。
そのときだった。
「龍崎さん――――……お待たせしました――――………て…あら」
そこに登場したのは
千里のおばちゃんだった。
え――――……?
千里のおばちゃんの不倫相手って――――
叔父貴だったの――――……!!!



