。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。




「残暑見舞い。ど?具合は」


龍崎くんはカルピスソーダのペットボトルをあたしに手渡してきて、あたしのすぐ近くに勝手に腰を下ろす。


いいけどね、別に…でも一言「座る」って言ってもいいんじゃない??


完全に居座る気だな。


でも


「具合って??」


あたしが聞くと


「プチ鬱だ、とか言ってたじゃん。その具合」


龍崎くんは折り畳み式のテーブルに肘をついてのんびり聞いてくる。


心配……してくれてたんだ……


カルピスソーダのボトルをぎゅっと握ると、パキッ…小さな音がした。


まるであたしの心の音のように聞こえた。


響輔さんじゃなかったことにがっかり来てるあたし、サイテーだ。


「てかお前色白いな~


たまには外出て陽に当たった方がいいんじゃね?鬱は日光に当たるのがいいらしい」


龍崎くんが俯いたままのあたしを覗き込んでくる。


“らしい”って何よ、いい加減なんだから。


と思いつつも心配してくれて、嬉しかったり。


「……こ、これは元々だもん。あたし日焼けすると赤くなって終わりなの」


「そっかぁ、そりゃ大変だな」


龍崎くんは何が面白いのかくしゃり、と笑った。


人懐っこいその笑顔に―――


会いたくない、って思った自分が一瞬でも居たこと、それを恥ずかしく思った。