「リコ~凛堂のケーキあるよ~」
ひょっこり顔を出したお姉ちゃんの手にはケーキを乗せたトレーが。
もう……今いいトコロだったのに……
凛堂(りんどう)てのは全国展開している有名な和菓子店で、この夏から洋菓子も手掛けるようになった。→て前雑誌で紹介されてた。
朔羅と二人して「「食べたいね~~!♪」」って言ってたのを思い出す。
ここの和風バームクーヘンがすっごく有名で、すっごくおいしんだ♪でも有名だからすぐ売り切れちゃう。
その噂のケーキが今家にある。
でも
「今はいい」
あたしはそれを断った。
「えー!何よぉ、あんた食べたいって前言ってたじゃない。あたしの彼氏がわざわざ並んで買ってきてくれたんだよ~」
お姉ちゃんは唇を尖らせる。
何よ、つい最近まで喧嘩してたくせに。彼氏とラブラブっぷりを見せつけたいわけ??
「要らないったら要らないの。ダイエットしてるから」
「ダイエット!?あんたがぁ??もしかして、彼氏でもできた?♪」
お姉ちゃんはワクワクと聞いてくる。
「違う!朔羅とプール行く約束してるし、少しでも細くなりたいの!」
あたしは思わずキっと目を吊り上げてお姉ちゃんを睨むと
「あー朔羅ちゃんとぉ。まぁそれならしておいた方がいいわね。比べられるもんね~」
何よ!
本気になって怒り出そうとしたとき、お姉ちゃんは危険を察知したのか
「あ、あたし彼氏下に待たせてるから~」
ひゅっ
まるで風の早さで階段を下りて行った。
何よ…
そりゃあたしはyouには絶対敵いませんよ―――
そう
あたしがダイエットしている理由は朔羅とプール行くため…もあるけれど本当は
スラリときれいに伸びた脚が特徴で胸も大きくウェストもきゅっとくびれているスタイル抜群のyouに
少しでも近づきたいから―――
そうなったら響輔さんが、少しでもあたしの方を見てくれるかな…
せっかく楽しく妄想してたのに、急に現実に引き戻されてまたもあたしの心をチクリ
針が刺した。



