まだ生き残りがいたのか、心の背後に男がそろりと近づき、その男の背後にまた速人が忍び寄り素早く首を固めると、いかにも切っ先の鋭いナイフで男の首……頸動脈を一切り。男は首元を押さえながら声も挙げずあっけなくその場に崩れる。
「いち、にぃ、さん…」
と速人が数え、7名を数えたところで
「これで全部やな」と速人はしゃがみ込み顎に手を乗せると、つまらなさそうに床に倒れて血を流している男の頭を軽く蹴った。
そのときだった。
虫の息だった男がのろりと立ち上がり、心に狙いを定めると引き金を引いた。
速人がいち早く気づき、拳銃が握られた手を蹴り上げ、それと同時に男の額に銃口を向けた。
宙に放り投げられた銃を片手でキャッチしながら
「良かった、まだ生きとって。家探しするつもりやったけど、時間が省けたわ。
“玄蛇の家系図”はどこや」
と低く言うと
「こ……殺さないでくれ!!」
と男はみっともなく命乞い。
「それはお前次第や。
お前らが“玄蛇の家系図”の在り処を守る……まさに門番やな。
俺らはそれを知ってる。
はよ言え。俺はこう見えても気ぃが短いさかい、
もう一度言う。
“玄蛇の家系図”の在り処をはよ言え」
銃口をさらに突きつけると、男は震える指先で賭場の奥を指さし。そこには金庫らしきどっしりした鉄の塊があった。
「こう見えて気ぃが短い?まんま気ぃ短いように見えるけど?」
と心が薄く笑い、男の元に歩いてくる。
「はよ吐いた方が身のためやで。
速人はうちよりえげつないさかい、すぐ楽にせずじわりじわりと拷問に掛けてくんや。
こう見えて陰険やで、このオトコ」
心の言葉に男はさらに震えあがり、ごくりと生唾を呑み込むと
「右に10左に8……」と金庫のダイヤルナンバーを口にした。
心が言われるまま開けると、中には現金など無かったが、茶封筒が一つだけ保管してあって、心がそれを開けると
「あったわ。おおきに、もう用はないで」
と速人の方を振り返ると、
「待っ!!」
男の最後の懇願は虚しく、速人の銃が男の額を貫いた。



