「しっかし、面倒やなぁ。“あの男”からも“依頼”が来とるんやろ?」
「ダブルブッキングは初めてやないやん。しかも依頼内容は偶然にも盛岡やし。面倒でもカタつけな
対馬兄妹の名がすたるわ」
心が勝気に笑って、車庫の奥へ向かうと、一台の埃避けの布を被せれた車が置いてあり、彼女がその白い布を取り去ると、黒いSUV車が現れた。
その車を目にすると速人は目を細め
「ちょぉ待ちぃ。盛岡まで何キロある思うてるん?」
速人の嫌味に素早く心が被せる。
「しゃぁないやん。これは非公式な仕事やで?まさか飛行機乗るわけにはいかんし、虎間のおやっさんに頼んで自家用ジェット貸してもらうワケにはいかんやん」
「まぁそうやけど……運転どっちがするん」
「そら速人や。あんたの方が運転上手いもん」
「簡単に言うなや。お前の方が向いてる」
とSUV車の前でちょっと口論になり、最終的には真剣な顔で睨みあった二人は
「「じゃぃけい、ほい!!」」
結局こうなるのだ。
「嘘やん!!何でなん!」と開かれた手をわなわなと震えさせる心の横で、速人はしたり顔でピースサイン。
「ほんじゃ、よろしく~☆」
SUV車のキーを心に放り投げると、心はそれを空中でキャッチ。
「あんた!隣で寝たら許さへんで!いてまうからな!」と心が喚くと、速人はそろりと両手を挙げ
「そんなもん持っとるとリアルやん」と心に手にある拳銃を目配せ。
「リアルもくそもあらへん!うちがそう言うたらそうするんや!」
「はいはい」
と速人は適当な返事をして、SUV車の助手席に乗る。
こうなったら早いもの勝ちだ。と言わんばかりに。ちゃっかり助手席に落ち着いた速人は、まだ車外に居る心に笑顔でひらひらと手を振っている。
はぁ
心は盛大にため息を吐いた。
「長い旅になりそうやわ」



