「で?俺を呼びに来たっちゅうことは何かあったん?」速人は助手席で横柄に腕を組み、
「あんた、聞いてへんの?戒からのヘルプコールがあったんや」
心が呆れたように吐息をついた。
「知らへん。てか、戒のヤツよう心を捕まえよったな」
「響輔の手ぇ借りたみたいやよ♪」
「ああ、納得」
「んで?戒からのヘルプコールの内容は?」と速人が心の方を流し目で聞き
「PCにメールが送られてきてるさかい、確認してや。因みにうちはもう確認済みやで。
てかあのガキ、人遣い荒すぎる!!ちゅうねん!
うち、明日から鹿児島やったんよ!」
速人がPCのメールの内容を眺めながら口元に指をやり
「鹿児島?何しに行きよんねん」
「学会や。なんや遺伝子疾患のおもろそうな題材やったからな~。あんたの“セレブごっこ”よりおもろいのは間違いあらへんわ。
はぁ、学会に入りこむため偽の名前もIDも用意した言うのに」
とほほ、と言う具合に心はハンドルに顔を埋める。気付いたら信号は赤だった。
「しゃあないやん、何だかんだ言うて、お前あのガキらに甘いもん」
「せやなぁ。あのクソ生意気な戒はどーでもええけど、昔っから響ちゃんには弱いんや」
「俺はどっちも同じやと思うけど?
へぇ“これ”が噂の“朔羅ちゃん”?
可愛ええやん♪」
と速人が楽しそうに画面を覗きこんでいて
「ほんま、かわいらしい子みたいよ?“あの”戒がベタ惚れらしいから、
ははっ!それ聞いただけでめっちゃウケる!」
「へー、“あの”戒がなぁ。産まれたときから知っとるけど、ガキなくせして浮名流しまくとったあいつがなぁ」
「せやでー、だからあんた朔羅ちゃんに手ぇ出したらあかんで。戒に殺されるで」
「誰が手ぇ出すかい。俺はロリコンちゃうで」
「ほな、シスコン」
心の言葉に速人は曖昧に笑った。
ただ、
―――否定はしなかった。



