。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。




「で?俺を呼びに来たっちゅうことは何かあったん?」速人は助手席で横柄に腕を組み、


「あんた、聞いてへんの?戒からのヘルプコールがあったんや」


心が呆れたように吐息をついた。


「知らへん。てか、戒のヤツよう心を捕まえよったな」


「響輔の手ぇ借りたみたいやよ♪」


「ああ、納得」


「んで?戒からのヘルプコールの内容は?」と速人が心の方を流し目で聞き


「PCにメールが送られてきてるさかい、確認してや。因みにうちはもう確認済みやで。


てかあのガキ、人遣い荒すぎる!!ちゅうねん!


うち、明日から鹿児島やったんよ!」


速人がPCのメールの内容を眺めながら口元に指をやり


「鹿児島?何しに行きよんねん」


「学会や。なんや遺伝子疾患のおもろそうな題材やったからな~。あんたの“セレブごっこ”よりおもろいのは間違いあらへんわ。


はぁ、学会に入りこむため偽の名前もIDも用意した言うのに」


とほほ、と言う具合に心はハンドルに顔を埋める。気付いたら信号は赤だった。


「しゃあないやん、何だかんだ言うて、お前あのガキらに甘いもん」


「せやなぁ。あのクソ生意気な戒はどーでもええけど、昔っから響ちゃんには弱いんや」


「俺はどっちも同じやと思うけど?


へぇ“これ”が噂の“朔羅ちゃん”?


可愛ええやん♪」


と速人が楽しそうに画面を覗きこんでいて


「ほんま、かわいらしい子みたいよ?“あの”戒がベタ惚れらしいから、


ははっ!それ聞いただけでめっちゃウケる!」


「へー、“あの”戒がなぁ。産まれたときから知っとるけど、ガキなくせして浮名流しまくとったあいつがなぁ」


「せやでー、だからあんた朔羅ちゃんに手ぇ出したらあかんで。戒に殺されるで」


「誰が手ぇ出すかい。俺はロリコンちゃうで」




「ほな、シスコン」




心の言葉に速人は曖昧に笑った。


ただ、


―――否定はしなかった。