だからまだ話せてない。


何となく…話題にし辛くて。


「たまたま機嫌が悪かっただけじゃねぇの?」


千里は面白くなさそうに唇を尖らせてコーラをがぶりと一口。


「そっかなぁ…あたし龍崎くんが機嫌が悪いの見たことない。


そりゃ怒ったら怖いけど、ちゃんと理由あってのことだし。


いっつも元気過ぎるぐらい元気じゃない?」


リコがちょっと考えるように口に手を当て大きな目をぱちぱち。


「だよな~…なんかやらかしちまったのかと色々考えたけど思い当たる節が見つかんねぇって言うか…


逆に言うとありすぎて何が癇に障ったのか分かんねぇ」


後者の方が正しい意見だな。


「でも……昨日――――龍崎くん電話で―――」


リコは考えるように目を細めて床の一点をじっと見つめ、


でもその後に続く言葉を飲み込んだ。


「昨日……?」


あたしが聞くと


「ううん!何でもない!」と慌てて首をフリフリ。


コーラのグラスを傾けた。


あたしもコーラを一口。


シュワッ





辛い炭酸が喉を通っていって思わず咳き込みそうになったが何とかそれを


疑問とともに



飲み込んだ。