「俺さー、今度見合いすることになってんだよね」


と老舗旅館の蓮川が鞍から(あぶみ)を使って降りながら口を尖らせる。


「マジで?まだ早いんじゃね?結婚とか、面倒だよな~」とITの方が言い、同じように鐙から降り立つと、まだ騎馬中の津島を見上げた。


「津島さんはどう思う?てか彼女とかいるの?」


「さぁ。俺は彼女は居ないし、結婚もまだ考えてないから分からないな」と笑いながら津島は鐙を遣わず、ふわりと身を翻して馬から降り立つ。


またも「キャー!」と言う声援が送られてきて、男たち三人は顔を見合わせて苦笑い。


「あの中の誰かとくっつく予定は?」と津島がITに言って、ちょっと女たちの方を目配せ。


「まー、“サラブレッド”だけどな~、俺は時代の寵児と言われた男だぜ?あんな堅苦しい肩書の御令嬢はごめんだ」と蓮川は苦笑い。


「へぇ、そう」


「何だよ、津島さん。彼女たちの中に本命が?」と聞かれて、津島はハッキリと分かる苦笑いを浮かべ


「まさか」と肩をすくめてみせた。


「君はどうゆう女性が好みなの?」と、津島は馬の首をそっと撫でながら蓮川に聞き、馬は気持ち良さそうに津島の方に顔を向けていて


「そうだなー、あまり形に捉われない、自由で、性格はキツめでもいいけれど、冗談が通じて、頭の良い女が好きだな」


随分、要望が多いこって。とツシマは心の中で苦笑い。