心の言葉に響輔は更に目を険しくさせた。
心め!余計なこと言いやがって!
でも、響輔は立ち直りも早く
「こうなったら一刻でも早く、伊予原 椿紀に接触するのが良いですね。
“向こう”だって相当焦ってる筈ですから。
彼らが場所を移動する可能性が高いです。そうなったら追跡不可能」
いくらか冷静さを取り戻した響輔が言って、
「分かってんよ。でもこれで確信した。
タイガにとって“カズノリ”は、どうしても隠しておきたい存在だってことを」
俺が後を引き継ぐと
「だったら!尚更、いくらマサさんと一緒だからって一人帰らせたんですか!
それにここには一結だって居る」
響輔が胸倉を掴む勢いで迫ってきて、俺は再び心の背後に隠れた。
「イチは大丈夫やろ。お前の話に寄るとスネークの野郎、イチに惚れてるさかい」
「え?ほんま??」と心がわくわくと目を輝かせる。
「そうゆう問題じゃ…」と響輔は尚も何か言いかけたが、
楯になってくれた心は身も言葉もまさしく楯。
「朔羅ちゃんは大丈夫やわ。安心しい、朔羅ちゃんには絶対バレへんGPS付けといたさかい、
それに速人も朔羅ちゃんの後を追っとる」
せや、せや!
と俺は心の背後で援護(?)射撃。
響輔は深いため息を吐いて
「絶対バレないGPSって何ですか」と心に問う。
「うちらが開発したGPSや。まだ実験段階やけど、99%成功してる。
速人に血液採取させたんは、単に朔羅ちゃんの血液サンプルが欲しかったのもあるけどな
血液採取とほぼ同時に、微量な薬を注射してん」
「その微量な薬と言うのが……」
響輔が目を開く。
「せや。それがGPSや。体内に入った液体は血液と混じって一日で跡形なく消えるさかい、短時間のみの追跡になるけど。
どや!うちらのアイデア凄いやろ!」
心は言葉通り『どや顔』で得意げ。
しかし、
朔羅は一時的とは言え、ヤク漬けにされたも同然だ。アルコールをはじめとする依存率の高い薬系は避けたかったが、
ヤク抜きも80%は成功してる。
だが、残り20%がまだ体内に残ってるうち……いや、今後いつその薬を摂取するのか分からない状態で、俺は迂闊に朔羅に触れることすらできない。



