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・☆ リコSide ☆・




―――17歳の夏、恋をした。


―――17歳の夏、恋が終わった。




まるで打ち上げ花火のように、大きく打ち上がったのに、あっけなく





終わっちゃった。




とうとう……ホントに終わっちゃったんだ。短かったな。


と、思うとまた涙がこみ上げて来る。


すん、と鼻をすすり、何となく駅構内に設置されているデジタル時計に視線をやると


19時をとうに過ぎていた。


帰宅ラッシュなのか、さっきは割とまばらだった駅が急にざわめきだし、賑やかになった。


「……すみませ……付き合ってもらって」


あたしはすぐ隣で立っている進藤先輩を見上げた。流石に人が多い中、いつまでも泣いてたら変な目で見られる。


でも


「全然いいって。気にするなよ」


先輩は、笑う。


何事もなかったように。


何も知らなかったように―――


今のあたしにはそれがちょっとありがたかった。


変に慰められると余計に惨めになる。


強引に目元を拭って、ちょっとだけ手鏡で目元を確認すると充血して目が真っ赤だった。


ぅわぁ……これちょっと恥ずかしいかも…


と慌ててまばたきをする。


「じゃぁ、行こうぜ。送ってく」


と先輩が歩き出し


「いえ!いいです!あたし一人で帰れます」と慌てたが


「いや、流石に危ねぇって。そんな今まで泣いてましたーって顔してたら。


俺みたいな変な野郎に目をつけられるぜ?」


「俺みたいな……って。先輩が言う」


思わず笑うと


「いいから送られとけって」と先輩は言葉少な目に言って前を向く。


それが照れ隠しだってこと、ちょっと分かっちゃった。