。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。




「土産話はないが、土産ならあるぞ」


タチバナはそう言って、ドン!とブランデーのボトルをテーブルに置いた。


「生憎だが俺は仕事中だ。


飲みたいんなら、お前の自慢の嫁と飲め」


と言ってやると、


「生憎だが、その嫁は会社の飲み会で留守にしてる」


と、タチバナはつまらなさそうに、ふん、と鼻息を吐く。


「ああ、そっか。それで寂しくて?」


と俺が指摘すると


「んなワケあるか。誰が好き好んでお前と顔突き合わせて飲みたいと思う。


旨い酒も不味くなる」


「俺も同感だ。お前と顔を突き合わせて飲みたくない」と腕を組むと





「ホントは嘘。


たまにはお前と飲むのもいいかな、って思ってな」




はぁ?


何だよ、急に。気持ち悪っ!


と、急に寒気を覚えて両肩を抱くと


「まーいいから付き合え♪どーせ締日延びてお前も暇だろ?


金と権力にもの言わせて強引に延ばさせたの知ってるんだぜ♪」


と言い、手慣れた仕草でサイドボードの中を勝手に漁ってバカラのロックグラスを二つデスクに置く。


まぁ、当たってるだけに何も言えんが。


「てか、何故お前が締日を延ばしたことを知ってる」と大人しくグラスを受け取る……と言うよりほとんどぶん取る勢いで奪うと


「その手の情報も早いの。“ある意味”同業者みたいなもんだろ?俺たち」


あーそー、なるほど。こいつんち(実家)から回ってきた情報ね。


と、妙な納得をしてグラスを突き出すと、タチバナはちょっと苦笑して、ボトルから琥珀色の液体を注ぎ入れた。