。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。



「今度こそ悪い冗談は止せ」


不機嫌になった俺を、だがキリは慣れているのか恐れを成すことはない。


「“スネーク”討伐の為に、私が邪魔になったとしても、あなたは私を殺さない。



鴇田の―――



いいえ、翔が大切にしてるから?」




「大切にされてるのか?」逆に聞くと



「ええ、勿論♪」とにっこり笑顔。


「だったら尚更、結婚取りやめを止めろ」


変な日本語だな。まぁ、そんなことはどうでもいい。




「それとも鴇田を利用して、




お前ら兄妹が龍を食い殺すつもりなら―――」





そこで言葉を切って、デスクから脚を退けると、今度は俺が身を乗り出し、キリの細い顎を掴んだ。キリの黒い髪がさらりと俺の手の甲を滑る。


キリは俺の行動に動じることなく、まばたき一つしない。


さすが、世界最強と謳われた殺し屋の妹なだけある。




「その前に俺がお前を捻りつぶす。




俺だけの首が目当てで、翔を利用したのなら―――




奈落の底を見る羽目になるぞ」