「俺が一結に言うたんです。
『俺の女になれ』て。
その直後、鴇田さんが来て―――」
そこまで言って響輔は言葉を飲み込んだ。
ここまで来たら……、何となく想像はできる。
俺はイチは鴇田の近親者じゃないか、と狙っていたが、響輔はそこの所……はっきりとした関係を、今まで喋ろうとしなかった。
でも、この予測不能な緊急事態で、『思わず口が滑った』と言うことか。こいつなら有り得ない失態だが、それぐらい動揺してたってことだよな。
だが、それだけだったら響輔もイチと鴇田の関係を頑なに沈黙する理由にならない。
俺は以前―――
朔羅に関係してること
だ、と響輔に言ったことがある。
そのときも響輔は沈黙していた。
まさ―――か……
俺が考えてると
「一結がほんまに欲しいんは
―――……」
響輔は言葉を濁した。響輔の言葉にはっとなって慌てて顔を戻した。
「鴇田さんが、一結にちゃんと愛情を注いでやらんかったから
一結はスネークに……」
スネーク……?
「何でそこにアイツが出てくる」
眼と声が険しくなるのを押さえらなかった。
「一結は揺れてる。
スネークと、俺との間で―――
スネークの野郎も一結のこと……
だから……」
揺れてる―――……?
スネークのヤツもイチのこと―――…
聞けば随分けったいな話や。
あの最強と謳われた殺し屋が、小娘に恋―――
信じられない話だが、響輔はあやふやな予想だけで物を言わないヤツだ。と言うことは、本当なんだな。
だから、か。
何となく納得がいった。
スネークは危険な男だ。
そのスネークの手に堕ちたらイチは命を落としかねない。
だから―――か。



