医務室から出ると雨はすっかり上がり、すっきりとした夕暮を物語っていた。
急な雨で右往左往する客たちも、昼間と同じ賑わいを見せていて、
朔羅は腕時計に視線を落とすと
「ヤッベ!アトラクション、まだ乗ってないのあるよな!急がなきゃ!」
と慌てたが
「もう少し休んでいこうぜ。それにお前怪我もしてるし、今日は早めに帰って御園医院に……」
と言いかけた言葉に
「ヤダ!」
と、朔羅が遮った。
「ヤダって、お前なぁ、傷口から化膿したらどうするんだよ」と俺は本気でちょっと怒ったように目を吊り上げたが
「御園医院はちゃんと行く。だけどもう少し……」
二人きりでいたい。
朔羅の心の声が聞こえてきた。
「それ、反則……
そんな顔されたら、帰したなくなるやん」
俺は苦笑を浮かべて、朔羅の手を取るとそのまま指を絡めて
「アトラクションはまた次回、ゆっくり来ようぜ。今日は土産買って、時間が合えば夜のパレードもちらっと見えるかもしれねぇし」
と提案すると、朔羅は渋っていたが
「じゃぁまた今度、絶対!来ような!!」
と言って、きゅっと俺の手を握り返してくる。俺も朔羅の小さな手を握り返し、俺たちの指は絡まったまま、アスファルトに伸びた影は寄り添っていた。
なぁ琢磨さん
俺と朔羅
今、この瞬間は比翼の鳥になれたかなー――
本来ならあんたが“居る場所”に、俺が居る―――
朔羅のこと一瞬でも守れなかった俺のこと知ったら、あんたは怒るよな。
もうそんなことはせぇへんから。
今日んところは
堪忍。



