。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。




医務室から出ると雨はすっかり上がり、すっきりとした夕暮を物語っていた。


急な雨で右往左往する客たちも、昼間と同じ賑わいを見せていて、


朔羅は腕時計に視線を落とすと


「ヤッベ!アトラクション、まだ乗ってないのあるよな!急がなきゃ!」


と慌てたが


「もう少し休んでいこうぜ。それにお前怪我もしてるし、今日は早めに帰って御園医院に……」


と言いかけた言葉に


「ヤダ!」


と、朔羅が遮った。


「ヤダって、お前なぁ、傷口から化膿したらどうするんだよ」と俺は本気でちょっと怒ったように目を吊り上げたが


「御園医院はちゃんと行く。だけどもう少し……」




二人きりでいたい。




朔羅の心の声が聞こえてきた。





「それ、反則……


そんな顔されたら、帰したなくなるやん」






俺は苦笑を浮かべて、朔羅の手を取るとそのまま指を絡めて


「アトラクションはまた次回、ゆっくり来ようぜ。今日は土産買って、時間が合えば夜のパレードもちらっと見えるかもしれねぇし」


と提案すると、朔羅は渋っていたが


「じゃぁまた今度、絶対!来ような!!」


と言って、きゅっと俺の手を握り返してくる。俺も朔羅の小さな手を握り返し、俺たちの指は絡まったまま、アスファルトに伸びた影は寄り添っていた。




なぁ琢磨さん




俺と朔羅





今、この瞬間は比翼の鳥になれたかなー――




本来ならあんたが“居る場所”に、俺が居る―――




朔羅のこと一瞬でも守れなかった俺のこと知ったら、あんたは怒るよな。


もうそんなことはせぇへんから。


今日んところは



堪忍。