「朔羅!!」
俺は朔羅の名前を叫び、あいつの香りだけを頼りに夢中で走った。
俺は何故
朔羅を先に行かせたんだろう。
俺が「入ろう」なんて言わなければ
無我夢中で走っている間、色んな「もし」が浮かんで、俺の中は後悔でいっぱいになった。
「くっそ!どこだよ!!」
声を挙げると、音の反響が今までと僅かに違うことに気づいた。
どこかに空間がある!
俺はその反響と朔羅の香りを頼りに、迷路を走り抜け、それから間もなく
朔羅の姿を見つけた。
朔羅は床に仰向けに倒れていて、腕や手から血を流している。
砕けた鏡の破片が靴底で、ジャリっと音を立てた。
どうゆうことだ!
朔羅が鏡を割ったのか―――!?
いや、そんなことより朔羅だ!
出血の量から致死量ではないことが分かったが、一瞬気が動転しそうになった。
「朔羅!」
朔羅の肩に手を置き、軽く揺すってみるが、反応はなく
俺は慌てて朔羅の首元に手を置き脈を確かめた。
俺の指先で、確かにトクントクンと脈が波打っていて、
ほっと安堵した。
思わず腰から力が抜けそうになったが、何とか踏ん張り
「朔羅!」
俺はもう一度朔羅を揺すった。



