朔羅に勝ちたいと思ったことない。“you”に勝てると思ったことない。
でも
好きだった。
―――本当の恋だった―――
二度目は頑張れたけど、三回目は……
もう
疲れちゃったよ。
「分かりました」
あたしは何とか笑顔を取り繕って、オレンジジュースのストローでジュースを吸い上げる。
底が見えなくなって氷だけになるまで、強く。
「ありがとうございます。
ちゃんと返事を聞けて」
「リコさん―――……」
響輔さんが目を上げる。
―――これ以上は、もう何も言わないで―――
―――お願いだから―――
じゃないと、あたしみっともなく泣いて喚いて、縋って―――
響輔さんの重みになりたくない。
響輔さんを困らせたくない。
「じゃぁあたしもここのドリンクバー奢ってもらおっかな~
慰謝料として。って言っても、あたしたち付き合ってるわけでもないし、響輔さんが浮気したわけでもないから、慰謝料てのはおかしいか」
あたしは底抜けに明るい笑い声を挙げて
「俺、女の子にはお金出ささへん主義やさかい」
「あ、あはは~!!かっこいいな~響輔さんは!」
強引に笑い声を挙げて、腕時計を見るフリ。
「あ!こんな時間!あたしお母さんに夕飯の買い出し頼まれてたんだ~」
ワザとらしかったかな。時計が示す時間なんて全然見えてない。
「すみません、あたしはここで」
と断りを入れて立ち去ろうとして、
でも響輔さんのちょっと切ない表情を見て―――
何だか泣きそうな感じだった。あくまで“感じ”だし、響輔さんの考えてることなんてあたしには分かんないけど……
でもきっと
心が泣いてる。
「また…
また秋刀魚食べにきてください!大根とポン酢いっぱい買うので」
と言うと、響輔さんはようやくうっすら笑みを浮かべた。



