。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。



朔羅に勝ちたいと思ったことない。“you”に勝てると思ったことない。


でも


好きだった。



―――本当の恋だった―――



二度目は頑張れたけど、三回目は……


もう





疲れちゃったよ。





「分かりました」


あたしは何とか笑顔を取り繕って、オレンジジュースのストローでジュースを吸い上げる。


底が見えなくなって氷だけになるまで、強く。


「ありがとうございます。


ちゃんと返事を聞けて」


「リコさん―――……」


響輔さんが目を上げる。


―――これ以上は、もう何も言わないで―――


―――お願いだから―――



じゃないと、あたしみっともなく泣いて喚いて、縋って―――



響輔さんの重みになりたくない。


響輔さんを困らせたくない。


「じゃぁあたしもここのドリンクバー奢ってもらおっかな~


慰謝料として。って言っても、あたしたち付き合ってるわけでもないし、響輔さんが浮気したわけでもないから、慰謝料てのはおかしいか」


あたしは底抜けに明るい笑い声を挙げて


「俺、女の子にはお金出ささへん主義やさかい」


「あ、あはは~!!かっこいいな~響輔さんは!」


強引に笑い声を挙げて、腕時計を見るフリ。


「あ!こんな時間!あたしお母さんに夕飯の買い出し頼まれてたんだ~」


ワザとらしかったかな。時計が示す時間なんて全然見えてない。


「すみません、あたしはここで」


と断りを入れて立ち去ろうとして、


でも響輔さんのちょっと切ない表情を見て―――


何だか泣きそうな感じだった。あくまで“感じ”だし、響輔さんの考えてることなんてあたしには分かんないけど……


でもきっと


心が泣いてる。





「また…


また秋刀魚食べにきてください!大根とポン酢いっぱい買うので」




と言うと、響輔さんはようやくうっすら笑みを浮かべた。