。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。




少しの間、響輔さんは


「宿題進んでますか?」とか「夏休みだからどこか出かけましたか?」とか当たり障りのない会話を繰り出していた。


その問いに、「はい」や「いいえ」でしか答えられない。


いつもの逆だ。


いつもあたしが色々質問したり話振ったりして、それに関して「はい」と「いいえ」で答えてくれる響輔さん。


何だか嫌な予感ってのが払拭できず、つい





「今日は―――……いつになく良く喋りますね」





と思わず口に出たあと、はっとなって口を噤んだ。


響輔さんはキマヅそうに窓の方へ視線を映し、


ちょっとした()ができた。嫌な沈黙が降りてきて


「しゅ、宿題はもうほとんど片付けました。あとは読書感想文だけです。


千里に宿題写させてって言われたけど、その本人遅刻してくるし。


もー、どんだけよって話ですよね!


最後に残っちゃった読書感想文、読む本がなかなか見つからなくて、響輔さんオススメの本とかあります?」


沈黙を隠すように早口にまくし立てた。


そのマシンガンのような会話をじっと聞きながら、響輔さんはあたしを真正面から捉えている。


「あとは……夏の想い出みたいな、そうゆう作文的なものもあって……」


響輔さんに見つめられて、声がどんどん尻すぼみになっていく。


「きょ、響輔さんと行った花火大会の……想い出を書こうかと……」と俯きながら言うと


「鼻緒摩れして歩くのが大変だったとか、書けそうですね」


響輔さんが静かに言い放った。


「……はい。でもあたし……もっともっと響輔さんと夏の想い出を…」と言いかけたところで





「ごめんなさい」





響輔さんの言葉でかき消された。