響輔さんが自分の分のアイスコーヒーと、あたしの分のオレンジジュースを持ってきてくれた。
「あ、ありがとうございます」
おずおずと受け取ると、響輔さんはちらりと進藤先輩を見て
「金髪くん、悪いけどちょっと席外してくれない?
俺、リコさんと話があるから」
と、無表情で語った言葉は相変わらず淡々としていた。
“話の内容”が、その口調から全く読み取れないだけに、ちょっと怖くなる。
思わずきゅっとオレンジジュースのグラスを両手で包み込むと
「あ、はい……んじゃ、俺はこれで。また何かあったら連絡します」
ぺこりと頭を下げて、500円玉をテーブルに置いた。
それを響輔さんが進藤先輩の手元に戻して
「ここは俺の奢りです。それよりも、新垣さんの家の様子ちょっと見てきてくれますか。
俺も戒さんも、お嬢も今日はそちらに行かれないので」
と言うと
「うす」と軽い調子で言って「じゃぁ、バイト料ってことで♪」といそいそと500円玉を財布に仕舞いこみ、帰っていこうとした。
けれど、あたしの方をちょっと気にしたように顔を振り向かせて、それにあたしには小さな会釈で返した。
進藤先輩は先輩なりに心配してくれてるのかもしれない。
改まって響輔さんと二人きり。
はじめて二人きりになったわけじゃない。ハプニングだけどあたしの部屋で二人きりになったこともあるし、キスだってした。
なのに、いつも以上に緊張する。



