「土地の登記簿を調べてみます。それか龍崎会長に聞くのが早いか……
いや、会長とは喋りたくない。面倒だけど、やっぱり登記簿か…」
と響輔さんは独り言を口の中でブツブツ。
会長って言うのは朔羅の叔父様のことだよね?
「響輔さんにも苦手な人が居るんですね」と思わず口にすると
「そりゃ居ますよ。人間だし」と響輔さんがちょっと微苦笑。
そう―――だよね、響輔さんは人形じゃない。
最初は―――表情に乏しいし、何考えてるか分からないし、いつも落ち着き払ってるし、人間と言うより人形みたいな人だと思ってたけど
すごく優しいし、思いやりがあって、正義漢で。それを一つずつ、零れ落ちた何かを拾い集めていく感じで集めていったら、“好き”になった。
掌の中で包むように持ったグラスに目を落としていると
「リコさん飲みもの空じゃないですか?お代わり取ってきますよ」
と、言ってくれて、プラス凄く気を遣ってくれるに変わった。
「い、いえ!自分で行きます」と言ったけれど
「俺もまだ飲み物取ってきてないので、ついでに」と言ってあたしからグラスを取りあげ
ドリンクバーの方へ向かって行く。その優しさがちっとも嫌味じゃない。スマートだ。
その背中を見送りながら
「はぁ~、なんか~リコちゃんがキョウスケの兄貴が好きって気持ち分かるかも。
なんつぅか、地で女の子に優しいしな」
「地で?」
と目を上げて聞くと
「俺だったらさー、狙ってる女には目一杯そうゆうことするし、したいけど、それ以外は大抵気を配れないし」
「人間誰だってそうでしょ?好きな人にはいい子に見られたいから頑張るけど、そうじゃない人には自然体って言うか…」
「まぁそうだけどー、だからキョウスケの兄貴はモテるんだよ」と目の前で項垂れてる進藤先輩。
黒染めしても地が金色だから、陽の光でその表面がちょっとキラキラしてて
「進藤先輩だってモテますよ」
そう言う素直なことストレートに言えるところとか?あたし的には「いいな」て思える。
何故かあたしは先輩の髪に手を伸ばしていた。
「そうかな~」と先輩が顔を上げたから、思わずあたしは手を引っ込めた。



