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――
「……ら、
――――朔羅!」
誰かに名前を呼ばれて揺り動かされている。
ゆっくりと瞼を開けると、鏡の反射で光が満ちたその中に戒のぼんやりしたシルエットが浮かび上がっていた。戒は酷く心配そうに顔を歪めていて
「………戒」
何とか答えると
「どうしたんだよ、何があったんだ!」
と勢い込まれる。
「怪我……してる。鏡もぶっ壊れてるし、お前がやったんか……」
「鏡………?」
ぶっ壊れてる?
―――分からない。
ただ、じわりじわりとした頭痛がまだあたしの頭の中でくすぶっている。
「腕、怪我してるし!何があったんや!」
と、勢い込まれたけれど、何があったのか……
あたしは覚えてない。と言う意味で、首をゆるゆると横に振った。
「何があったんかはまた後で聞くさかい、怪我の手当てが先や。起き上がれるか?」
と、聞かれ
「……うん」
何とか頷いた。
「ゆっくりでええから」
あたしは戒の腕に縋り、戒の支えで何とか起き上がった。
けれどまだ意識が朦朧として、脚に力が入らない。
そんなあたしを戒がお姫様抱っこで抱えてくれて
ミラーハウスの迷路を難なく出て、すぐに医務室に連れて行かれた。



