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「一結が望むんなら


『愛してる』て


なんぼでも言うたるわ!!




なんぼでも


―――なんぼでも!



ほんま


愛しとる



だから、


俺の女になりぃ」



響輔はさっきの怖いぐらいの気迫を仕舞いこみ、あたしの手の拘束を緩め、あたしの髪をそっと撫で梳く。




「愛しとる、一結」




何度目かの台詞を囁くように呟き、そして今度はそっと優しく口づけ。


あたしの目頭に溜まった涙が零れ落ちる。


その涙の粒を掬いながら響輔が切なそうに瞳を揺らした。


「ごめんな、怒鳴ったりして」


「ううん、大丈夫」と言う意味で首を横に振る。


そのときだった。


響輔の背後に黒い人影が、まるで響輔を呑み込もうとしているように現れた。


どうして―――!


今日は帰ってこないってさっき……


「響輔っ!」と叫ぶと同時に


「いい度胸してるな、小僧。ここは私の寝室だ。“私の娘”に何をするつもりだ」




鴇田―――




は、そう言って黒光りする拳銃の銃口を響輔の頭に突き付けていた。


響輔がゆっくりと半身を起き上がらせ、両手を挙げた。


「言い訳ならいくらでも聞くぞ。ただ返答次第ではお前の頭に風穴が開くかもしれないがな」


「何言って…!あたしたちは何も…」と声を張り上げると


「じゃぁ何でお前は泣いている」と鴇田の据わった声を聞き、あたしは目を開いた。


「状況的に見て、キョウスケ、お前がイチを犯そうとしているように見えるが」


「だったら?」


響輔は冷めた目であたしを見たまま、静かに言い放った。


響輔はいつも通り冷静だった。それはあたしが銃を向けたときと同じように。


カチャッ


渇いた音が銃から聞こえてきて、銃口に押されたのだろう、響輔が少し前のめりになる。


「やめてよ!響輔は何もしてない!ホントよ!」慌てて起き上がると同時、響輔が鴇田の銃口をすり抜けて、あたしの腕を強く引きあたしの首元に腕を回す。


あまりの素早さに抵抗らしい抵抗ができなかった。響輔の腕で首を絞められる形になっている。


「撃つんなら撃ってもいいですよ。ただし、一結も道連れだけど」


低い声はまたも怒気を孕んでいて、私の額に嫌な汗が一つ流れた。


響輔―――……?


「貴様…」鴇田の眉間に一層深く皺が刻まれる。


「一結、地獄で会おうや」


響輔が初めて見せるちょっと勝気な表情でうっすら笑い、その低い声を聞いて


響輔は―――そう言ったらきっとそうするだろう。


そして鴇田も、


撃つことに何の躊躇もない筈。