「お前の分も買ってきてやったぜ~、ほら、レモンスカッシュ♪」と戒はご機嫌にあたしに大きなプラカップを手渡してきて
「かんぱ~い」と勝手に乾杯。しかもお前フライングじゃねぇか。
「これ何!?凝ってんな~サーモン!?うまっ!
柚子胡椒~♪」
と、戒は始終ご機嫌。色々突っ込みたいことはあったが、それを見てるだけで時間掛けて作った甲斐があるな、とあたしも嬉しくなる。
それでもさっきショップで会った金髪の男の存在を早々に忘れられるわけでもなく、あたしはサンドイッチにパクつきながら、あの不思議な男を思い浮かべていた。
もしかしてスネークかもしれない。でも、そしたら何であたしの前に現れる―――
キョウスケは『パフォーマンス』とか言ってたけど、そうじゃない目的があったように思えた。
「なぁ、さっきあのショップで……変なヤツに…」
と言いかけたとき
「変なヤツ?まさかまたナンパ!?」
と戒が目を吊り上げて今にも立ち上がりそうだったから、あたしは慌てて止めた。
「落ち着けって。ナンパじゃないし」
「じゃぁ何なんだよ」
と戒は一旦は腰を降ろしたものの、怪訝そうに目を上げる。
「えっと……それは……」
ここに来て、何でか、スネークに会ったかも、そうじゃなくてもさっき会った不思議な男のことを話すことを躊躇った。
変なヤツだったし、かごめの歌を歌ってた……
て言えば簡単だけど、そうしたら戒は「そいつを探そう」って言い出すだろうし。
そしたらせっかくのデートが台無しだよ。
それに本当に関係者とは違うかもしれないし、そもそもかごめの歌じゃなかったかもしれない。
「いや!変なコスプレしてたヤツ見たんだよね~、目立ってたから戒も見たかな~て思って」
「いや、見てねぇけど。てか、この園内ほとんどがコスプレしてる状態だろ?
見てみぃ、あのカップル。ど派手なドレス着て男の方はタキシードやで?ハロウィンでもないしいくら夢の国だからって俺は無理」
戒はちょっと呆れたように目を細めている。
戒の言う通り、あの男は単なるコスプレ野郎だったんだ。
うん、そうだよ。
と、自己完結させて再びサンドイッチを口に運ぶも、喉に物が詰まったようになかなか飲み込めない。



