どうやらアヤメさんが誤ってパワーウィンドウのスイッチを押しちまったようだ。
自分の手とあたしたちを見比べ
「あらっ」と恥ずかしそうに顔を逸らした。
ドクターはメガネは無く黒い髪を乱れさせていて、肩をむき出していた。
背中の半分ほどまでワイシャツごとむき出しになっていて、華奢だと思っていた体は
しなやかできれいな筋肉がついていた。
細マッチョって言うヤツ??
なんてじっくり観察してる場合じゃないっつうの!
「……お嬢さん……何故あなたがここに?」
ドクターはアヤメさんを組み敷きながらの態勢で聞いてきて、
てかその態勢何とかしろよ!と突っ込みたかったけれど突っ込めない。
あたしは言い訳を考えるのに必死。
でも結局良い言い訳なんて思いつかず
「い、いい歳した大人が車ん中でことに及ぶなよ!」
自分の行いを棚上げでドクターを指さして怒鳴った。
ドクターは乱れた前髪を色っぽく掻き揚げると、「ふっ」と喉の奥で涼しく笑った。
「お嬢さん、人間の性欲と言うものは時として…」
その説明を遮ったのは
「あのぅ…俺も居るんすけど」
と素直に立ち上がる戒。
「あら…まぁ」
とアヤメさんが起き上がり、乱れた着物の襟もとを慌てて合わせる。
アヤメさんの髪も乱れていて、
解けた和服が
や、やらしい!!!!!



