あたしの質問にコーヒーを飲んでいた響輔は危うくコーヒーを吹き出しそうになって咳き込んだ。
「なっ……なん?突然」
手の甲で口元を乱暴に拭いながら響輔は目を上げた。
しまった!あたしとしたことが!!
これじゃあたしが誰かに『愛してる』って言われたって気づかれちゃうじゃない!
「あ、あのね!今度演るドラマでそうゆう台詞を男が言うの。女はあたしなんだけどね、どうやって演技すればいいのか分からなくて」
と、あたしは必死に言い訳。
「ふぅん」響輔は目を細めて
「どんなドラマなん?」と声を低めた。
「どんなって……えーと……」咄嗟に出た出まかせだからそこまで考えてなかった。
「あんまり内容は覚えてないけれど、そこだけ印象に残ってて」と我ながら苦しい言い訳。
あたふたと手を動かせていると、その手を少し乱暴とも呼べる手つきで響輔が握ってきた。
「誰に言われたん」
「……だ、だから共演する俳優に…」
「共演者って誰なん」
そう突っ込まれると言葉が出ない。だってそんなドラマ存在しないし。
あたしは必死になって何か…何か言い訳しないと!と考えてたけれど、響輔の方が一歩早かった。
「最初からおかしい思うた。あんたが襲われる……傷害事件ならまだしも一歩間違えてたら殺されるところやったんやで。
俺は芸能界のこと全然知らへんけど、そんな大事件をそんな簡単に終わらせることなんて無理やないの。
あの写真を撮ったんは
“スネーク”や。
あんたの“協力者”や。
あんたが主役張れるように考えたんやろ。それをあんたも知っとった。
違うか」
そう聞かれて、私は頷くことも、また否定することもできなかった。



