大狼の愚痴はそれから三分ほど続いた。
『大体僕だってさー!MIRACLEランド行ったことないのに、あの二人が仲良くデートとか!!ありえなくない!?』
「別に……ありえるんじゃないの?」
あたしの返事も“面倒くさいなー”の感情が隠しきれず、ぞんざいに言ってソファにふんぞり返る。
空気の読めない大狼はそれでもめげずに喋りつづける。
響輔も大して身のない会話にうんざりしたように額に手を当て、あたしの隣で胡坐をかきはじめた。
『……でね!!MIRACLEランドの観覧車の頂上でキスすると、その二人は永遠に結ばれるってジンクスがあるんだよ!知ってる!?
ヒツジちゃんとうさぎちゃんがキスしちゃったら、もう僕の入る余地なんてないじゃん!』
「最初からあんたの入り込む隙間なんて1ミリもないから安心しなさいよ」
と、ふんと鼻息を吐いて言ってやると
同じようにソファでくつろいでいた響輔が大きく肩を震わせて前のめりになった。その表情は見てはいけない何かを見たように、ただただ―――見開いている。
ただ事じゃないその様子に、送話口を手で塞いで
「どうしたの?」と小声で聞いた。
「いや、何でもあらへん」そう言った割には響輔の表情はどこか冴えないものだった。
そこからグチグチグチグチ大狼の愚痴が続いて、聞くのも面倒になってきた頃、
ブチっ
唐突に響輔が大狼との通話を切った。
「何や、あのままあの人の愚痴に付きあっとったら一日が終わってまう気がして。
そんなんあんたも望んでないやろ」
と言われて、
「う、うん!」私も大きく頷いた。
気を取り直してキッチンでコーヒーを淹れるも、その間あたしのスマホをじっと見つめたまま、と言うよりり睨んだまま??響輔は険しい表情。
「まぁ大丈夫やろ。戒さんかて付いてるし」
と独り言を漏らしては、ちょっと不安そうに腕を組んだり。
朔羅と虎間 戒が二人がMIRACLEランドに行ってるのがそれほど問題なの?とちょっと疑問。
でもコーヒーが出来上がってプリンと一緒にトレイに乗せてリビングに戻るころは、いつもの響輔に戻っていて、相変わらず無気力そうな表情を浮かべながら、テーブルに並べられるコーヒーカップをぼんやりと眺めている。
何なの……



