思わず響輔にテディを投げつけると、響輔は空中でテディをキャッチ。


「俺があげたもん粗末に扱わんといて。可哀想やん」


響輔は無表情にぬいぐるみの頭をなでなで。


何故だろう……響輔は“この”あたしが認めるほどイケメンだって言うのに、これほどぬいぐるみが似合わないイケメンってはじめて会ったわ。


ガクリ……膝を着いていると


「コーヒー飲みたい。淹れて」


と、またマイペース発言。


「てかあんた客でしょ!!もっと大人しくしてたらどうなの!!」


思わず喚くと、


「そう、俺は客。あんたは(あるじ)かっこ仮やけどな。ここ、鴇田さんの部屋やろ?客をもてなすのが主の役目ちゃう?」


冷めた目で見下ろされて……


く……返す言葉もない…



「鴇田さんの部屋……きれいにしてるんやね」


「まぁね…あいつ潔癖入ってるから」


響輔の言葉をあまり真剣に聞いてなかったあたしはシンクの上の棚を開いてコーヒー豆の入った缶を探す。


何だかかんだ響輔の頼みとあれば聞き入れちゃうあたし……


やだ……これじゃアホ男に貢ぐバカ女一直線じゃない……と顏を青くしながらも、


たかがコーヒーよ。貢ぐつもりなんてこれっぽちもないし!と強がりながらコーヒー豆の入った缶を探すあたし。


「確か……ここにあった気が…」


少しだけ背伸びをして中を覗いていると、いつの間に来たのかすぐ背後から響輔の腕が伸びてきて


「これとちゃうん?」


銀色のコーヒー缶を手に取った。


すぐ背後……あたしが半歩でもずれたら、体が密着する距離にまたもドキリと心臓が強く鳴る。