ちょっとミスマッチなそのいでたちさえも
このどこかミステリアスな雰囲気に良く合っている気がする。
どう見てもテーマパークに遊びに来ました、ってかっこではない。だけど従業員の制服でもなさそうだ。
何か……スパイ映画のスパイみたい、な格好にちょっと戸惑った。
映画の撮影か何か…なのかな。とちょっと考えていると
「どうぞ?探していたのでしょう?」
再び、ずいと二個のストラップを出されて、
「ど、どうも!!」あたしは慌ててそのストラップを受け取った。
新手のナンパかとも考えて、慌ててその場を離れようとも考えたけどせっかく探してくれたのに礼も言わずずらかるのは良くない、
「あ…ありがとうございます……でも…どうして……」
あんだけ探しても見つからなかったのに……
戸惑いながら男を見上げると、男は何が可笑しいのかクスクス喉の奥で笑い
「だって、ずっとKとSってブツブツ言ってたし」
と、口元に手をやった。
ぅわっ!!あたしって独り言呟いてたんだ!!めちゃ恥ずかしい!!!
顏から火が出る思いで俯いていると
「彼氏へのプレゼント?」
と膝に着いた肘で頬杖をつき、男があたしを再び覗き込んでくる。
ナンパ―――のようには思えないけど、油断はできねぇ。
「そ、そうですけど……どうして……」
顎を引いて探るように目だけを上げると
「左手薬指―――可愛い指輪してるから。
彼氏からもらったのかな、って」
男はあたしの薬指を指さし。



