何だ―――………
あいつが食べるんじゃなくて、あいつの新しい奥さんが食べるためか。
こんな見るからに甘ったるそうなの……女子アピールでもしてんのか?
そんな感じには見えなかったケド。
あたしのママは―――フルーツはイチゴじゃなくて、オレンジとかグレープフルーツとか、柑橘系が好きだったのに……
(あたしはイチゴ好きだけど)
いつの間にこんな……甘ったるいスイーツを冷蔵庫に入れるようになったのよ。
それもさも、そこにあるのが当然かのように。
我が物顏で、鴇田の一部を埋めるその存在が急に疎ましくなった。
―――鴇田はママのことなんてさっさと忘れて、新しい恋を早く手に入れたいのだろうか。
それならあたしが鬱陶しいでしょうね。
「何よ。
これで新しい母親になったつもり?あたしのママはこの世でたった一人……」
ぎゅっと瓶を握る。
やだよ。
やだよ、パパ―――
あたしのママのこと、忘れちゃわないでよ。
―――忘 レ ナ イ デ
ポツリ……
パッケージの表面に一粒の水滴が落ちて、訝しく思っているとそれが自分の目から零れ落ちた涙だと言うことに気づいた。
そうやって……みんなママのことを忘れちゃうんだ。
あんなにママが愛してやまなかったたった一人の男(ヒト)でさえ―――
そうしていつしかあたしも鴇田の記憶から零れ落ちる存在になる。
いずれ―――
それを考えると悲しくて、悲しくて………そして同時に胸が締め付けられるほど苦しくなって……
何でこんなに胸が痛いのだろう。何でこんなに涙が溢れるのだろう。
誰か…
誰か助けて。
あたしはプリンを胸に抱いたまま、その場で蹲った。



