あたしたちに近づくためにドクターを利用―――…?
「何で……」
「さぁな。理由なんて知らねぇけど、でもそんな感じがした」
戒はいよいよ逃げる態勢に入ったのか腰をちょっとだけ上げ、遠くを目配せ。
「今なら車と車の影を利用してうまく逃げられる」
「……うん」
答えたが、
ここに来て気づいた。
ない……
ない!!
あたしは手をぱたぱた。ジーンズのポッケもぱたぱたさせたけど
「戒!あたしのケータイ……」
「あ?」
戒が振り返る。
「あたしケータイ、トランクの中に置き忘れちゃった(泣)」
「はぁぁあああ!!」←注:超小声



