。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。




「いいか、イチ。部屋の中の物は触るなよ。位置をずらすな」


「はいはい。分かってるわよ」


几帳面なこいつらしい。数ミリでもずれてたら雷が落ちそうだ。AB型のくせに、面倒なヤツ。


「来客がきても対応するな。敵かもしれんからな」


はいはい。あんたは色々恨み買ってそうだしね…てか、あたしを子供扱いしないでよ!


あんたは母親ヤギかっつうの。


「それと、男を連れ込むなよ」


「はいは~い」


その約束はすぐに破られるわけでけどね♪


「それから……」


くどくど…


鴇田の言いつけは三分ほど続いた。会話を全部録音してテープ起こししたら結構な量になりそうだ。


契約時の約款(やっかん:条約・契約などに定められている個々の条項)みたいに細かいし。


「もー!分かったから、子供じゃないんだし言いつけはちゃんと守るわよ!」


いい加減うんざりしたあたしは鴇田の背を押して、強引に外へ出そう作戦に出た。


鴇田はまだ言い足らないのか、ブツブツと小言を口の中で呟いていたが





「それから……


夕飯作ったのなら、俺の分も残しておいてくれ。


帰ったら食う。




どんなに遅くともな」





「はいはい!分かった……わ……」言いかけてあたしは言葉を詰まらせた。





え――――………?


今、何て――――……





「聞いてンのか?」鴇田に睨み下ろされて、あたしはぐっと詰まりながらも顎を引いた。


こいつの通常だったら、あたしが残しておくって言っても


『毒入りじゃねぇのか。怖くて食えん』とか言うタイプだし。たとえ残しておいても、手をつけずに平気でゴミ箱に捨てる。


そうゆうヤツなのに―――








「ラップかけとく。レンジでチンでいいのなら……」








「充分だ。じゃぁな。仕事、行ってくる」


鴇田は相変わらずの無表情で答えて、アルマーニの靴に足を入れている。


「………行って……らっしゃい……」









パパ