ぎゅっとローブの裾を握った。力が入りすぎてローブの布越しに手のひらに爪が食い込んでる。
でも
あたしだって人並みの恋愛ぐらいしたい。でも言い返す言葉も浮かばない。
女優としても女としてもあたしは不完全で中途半端なのだ。
俯いていると、マネージャーはちょっと困ったように眉を寄せ
「まぁ私もそこまで鬼じゃないから……会うな、とまでは言わないわ。
youが『女優辞める』なんて言い出したら困るしね。
何て言ったってあんたは金の卵なんだし」
クローゼットを開けると、
「これと、これなんかだったら目立たなくていいんじゃないかしら」と言い、勝手にワードローブをひっぱり出す。
出したのは、白いシンプルなタンクトップにざっくり編みの透かしニット、カーキ色の七部丈クロップドパンツ。
可愛さの欠片もないし、色気の『い』の字もない、あたしにとっては地味な服装。
頭に『?』マークをいっぱい浮かべてマネージャーの行動を見守っていると、彼女はさらにヴィトンのブラウンのバッグと、ゴールドの色合いがきらきらきれいなルブタンのパンプスを取り出した。
唯一のオシャレアイテムが靴とバッグなんて、ちょっと寂しいし。
「“デート”はこの服でいきなさい。ただし場所は外ではなく中。このホテルも危険だから
どこか他の場所がいいわ」
なんて言われたときには、ぽかんと開いた口が塞がらなかった。
「ちょっ……ちょっと待ってよ!てかデートじゃないし!」
すべて見透かされていたことが急に恥ずかしくなって精一杯の強がりで否定してみたけど
「あら、デートじゃないの?じゃぁそんなに大事に用じゃないわね。今日は中止で」
なんて言い出し、新たに出した洋服たちをまた片付けはじめるマネージャーに
「ま、待ってよ!」
慌てて止める羽目になった。



