バタンっ!
扉が閉まる音がして
ギッ
車が軋んだ音を立てた。どうやら二人が後部座席に乗り込んだみたいだ。
ま、マジでする気!!?
てか勘弁して~~~!!
「に、逃げるのなら今の内だ」
と言う意味で戒の手を引っ張って立たせようとすると
「そうだな」と戒も頷いた。
「でもあの二人…やっぱ嘘くせぇって言うか…」
戒は腰を低めて後部座席を目配せ。
「嘘くさいって??」
「アヤメさんとドクターだよ。恋人って感じにはやっぱり見えない。
アヤメさんが使った“恋人ごっこ”てのが適切だよな」
「んなこと言ったって。実際“こと”に及ぼうとしてんだぜ!」
あたしはできるだけの小声で戒に喚いて
「てか“恋人ごっこ”する意味が分かんねぇよ」
アヤメさんの言う通り、ドクターが女に興味がないのなら別だが。
ここを逃げ出したい一心から思わず戒を睨むと、
「それは俺たちに近づくためドクターを利用してる―――て考えるのが妥当じゃねぇの」
と、戒がいつになく真剣に答えてきて
あたしは目をぱちぱち。