それでも諦めきれずにマップを広げ、
「なぁ、さっきの話…あれ本当かなぁ。観覧車の頂上でキスすると永遠に結ばれるって」
戒の方に見せたが、ぜってぇすぐ後ろのカップルの話し声も聞こえている筈の戒の反応は
無かった。
え?無視かよ!
目を吊り上げて戒を睨み上げると、
「くかー……」
戒は口を開けて
眠っていた。
マジかよ……!さっきはあんなに元気にお喋りしてたのに、ねんねとか!
まぁ??こいつが一秒の間でも眠れることは知ってるケドよぉ。
しかも今日の朝はやたらと早起きだったし?
しかもバスの揺れって、ちょうどいい感じに眠気を誘われるんだよな~
でもこのタイミングで寝る??
ああ、もうっ!と一人怒りながらも……そいえばあたしも昨日はあんまり寝れなかったしなー
ふわっと欠伸が出たのを皮切りに、だんだん瞼が重くなってきて、その数分後の記憶は無かった。
夢も見ず、ただ心地よい体温をすぐ隣で感じながら、ただただ守られるように安心できた。
手に同じ……いやそれ以上の温かいぬくもりを感じたのはそれからすぐあと。
指先をまるであやとりのように絡めて、心地よい体温に包まれて―――
「朔羅」
額に柔らかい、柔らかい唇……だよな、きっと。
感触を受けながら
「ごめんな」
戒の切なそうな苦しそうな呟き声を聞いて、
どうして―――……
どうして謝るの?
あたしたち、喧嘩してないよな。あたしあんたに怒ってもないし。謝られること、してないよ?
ねぇ
――――どうして。