おずおずと戒の背中に手を回すと、あたしの手の中に握られていた弁当が入った紙袋が揺れて戒の背中にぶつかった。


戒はゆっくりとあたしを離すと、


「弁当、重かったろ?持たせて悪かったな」と言いながらあたしの手から弁当の入った紙袋を引き抜こうとする。


いつも通りの戒だ。いつも通りの笑顔を浮かべて、いつも通り優しい。


さっきの怖かったあの顏は微塵も見えない。


「だ、大丈夫!こー見えて力は強いから」


ぎこちなく答える。


「まーなー」と戒も笑う。


「何だよ!人を馬鹿力みたいにっ!」と怒ってみせると


戒は明るい声を挙げて、それでもさりげなく弁当の紙袋を引き抜き、さも当たり前のように手を繋いで歩き出す。










いつも通り――――……



やっと―――




いつも通りだ。