「くっそ、お前ら何もんなんだ!」
男はこれまた安っぽい台詞であたしたちを睨み、ナイフを構えた。
「一結…下がりぃ」
響輔が前を向いたままあたしを背後に押しやった瞬間だった。
「こうなったらもうどうでもいい!!お前ら死ね!!」
真っ赤に血走った目を開いて男があたしの方めがけて突進してくる。
まるで響輔なんて眼中にないように、そのどこかいった目はあたしを捉えていた。
「一結!」
響輔が腕を伸ばし、あたしを突き放すと同時だった。響輔の腕にナイフの切っ先が撫でて行って、瞬時に赤い一文字が走った。
「うそ!響輔!」
あたしが叫ぶと同時に―――
「くっそ!お前らよくもやってくれたな……」
背後で響輔が伸した男がむくりと起き上がった。
その気配を察したのか響輔が二度目のナイフ攻撃をさらりとかわし
「大したことあらへん!逃げろっ!!」
と怒鳴った。
逃げろ、言われても……
前からナイフ男が、背後から拳を振り上げた男が―――
あたしたちは挟み撃ちにされて、
「くそっ!」
響輔が吐き捨てて、何を思ったのか素早い動作で屈みこみ、あたしの膝の裏に手を回した。
「一結!抱き上げるから、キックや!」



