言った後になってすぐに後悔した。
顔から火が出そうなぐらい恥ずかしい!!
な、何言っちゃってんのあたし!
響輔さんだってこんなこと言われて困るよ。
現に響輔さんは返す言葉に悩んだように口を噤んで俯いている。
「ごめ……なさ…」
無意識に謝ろうとすると、その言葉を響輔さんが遮った。
「謝ることは何もないです。だってリコさんは何も悪くない」
響輔さんの言葉に顔を上げると、響輔さんは困ったように眉を寄せて、けれど強引に口の端を引き上げて微苦笑を浮かべていた。
無理―――させてる………
と思ったら途端に胸が苦しくなった。
響輔さんを苦しめるしかできないあたし。
あたしが朔羅の親友で居る限り―――ずっとずっとあたしは響輔さんを苦しめ続ける。
けど
どんな結末が待っていようと、納得のいくまであがいてこの想いに終止符が打てるまで―――
響輔さんのこと好きでいさせて?
「じゃぁ俺はこれで……戻って新垣さんちの近所をパトロールしてきます」
響輔さんは重い車体を引きずるようにユーターンさせて、来た道を引き返そうとする。
華奢なその体が、驚くほど大きくて重そうなバイクを軽々操る。
来たときと同じようにバイクにまたがってエンジンを吹かせる響輔さん。
行っちゃう――――………
行かないで……まだ聞きたいことはあるの。
「響輔さん」
あたしは今にもスロットルを回して走り出そうとする響輔さんを呼び止めた。



