このメールにどう返信すべきか悩んだ。
悩んだ末、あたしはケータイを閉じた。
だって何て返信すればいいのか分かんないし、そもそもさっき変な風に別れちゃったからキマヅイってのもある。
バカなあたし……沈黙したら余計事態が悪くなるって言うのに……
けれどエリナはこっちも驚くほどの素早い動作でケータイを奪い、ケータイを勝手に操作。
「ちょっ!ちょっと何してるの!!」
思わずケータイを奪い返そうと手を伸ばしたけれど、エリナはさらに高い場所に上げてそれを阻止。
「おにーさんから、でしょ?リコ、ホントにこのままじゃ終わっちゃうよ?」
「……分かってるけど…」
「分かってないよ」
エリナは突如声を荒げて、あたしはその声に驚いた。
「リコ!いい!?恋愛なんて行動したもの勝ちなんだよ!待ってたって恋は舞い降りてこないんだよ!
王子様は来ないんだよ」
それ、さっきおねーちゃんからも言われました。
てかエリナ。さっきまであんなにストーカーに怯えて元気なかったのに……
「リコが返事を返さなければあたしが返す」
エリナは本気なんだろう。真剣な顔つきでケータイのキーに指を走らせ、あたしは今度こそそれを本気で阻止した。
「いい!!自分で打つ!」
結局―――返信内容をあーでもない、こーでもないと悩み続けて
To:響輔さん
Sub:Re:
>> そうですね。
たった一文返すのが精一杯だった。



