。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。




「利用……?」


エリナの言ってることが分からず意味を問いかけると


「そ。利用しちゃえばいいんだよ。


リコを心配してるのはサクラの親友だから。って言う状況」


「だから惨めになるって……」


言いかけた言葉をエリナに遮られた。あたしの鼻の頭をちょっと弾くエリナ。


「恋愛なんてね、きれいなことばっかじゃないんだよ。


惨めなこと、かっこ悪いことばっかり。


龍崎くんとサクラだってそう言うこと何度も経験して日々を乗り越えてるんだよ」


エリナの説明にあたしは寄り眼になりながら頷いた。


確かに……きれいなことばかりじゃない。それは分かってる。


分かってるんだ、ホントは―――


憧れの少女マンガや映画にようにドラマチックにはいかないことを―――


幼い頃から夢見がちだったことは認める。小学生の頃は本気で王子様が存在するとさえ思っていた。


でも


成長するにつれて、現実を目の当たりにして―――王子様なんていない。マンガのような恋はそう転がっていないってことに気づいた。


そんなことを考えていた数分後のことだった。





今度はメールの受信を報せる着信音が鳴って


開かなくても分かる。


メール受信:響輔さん


この文字を見て深い深いため息が漏れた。


どうせ「いい加減強情張るのはやめて、帰りましょう」って言う内容に違いない。


けど開いてみてると




From:響輔さん

Sub:

>> 俺たち、喧嘩したのはじめてですよね





このメールを見てあたしは目を開いた。