「騙すなんてひどいよ!」


ケータイを握ったまま思わずお姉ちゃんを睨むと


「リコ、分かりやすっ」


と、お姉ちゃんは悪びれた風もなく舌を出して笑ってる。


ヒドイよ!!


プリプリしながらもケータイを開いて


「もしもし、エリナ??」


でも電話の相手は―――


『もしもし、初めまして。


新垣 エリナの母でございます』



え―――………?



―――――通話を切った後で、あたしは慌ただしくテーブルに広げた宿題を片付けた。


「何?どうしたの??」


と、まだ居間でポテチをつまんでだべってたお姉ちゃんが不思議そうに聞いてくる。


「うん……ちょっと友達が緊急事態……今から出かけてくる」


大した説明もできずにテーブルの上のものを片付けていると





「友達もいいけど、あんた自分の恋も大切にしなさいよ?


恋ってのはねぇ、待ってるだけじゃ手に入らないのよ?



ちゃんと相手に向き合って、受け入れて――――



そして行動することが大事」



と、ありがたぁいアドバイス。


バリボリ……


まだポテチを食べる音が聞こえて、


ポテチ食べながら寝そべってる女に言われたくない台詞だけど―――



的を射ている。


あたしもあと三年経てばお姉ちゃんみたいな考えになるのかな。


「分かってるよ……」


あたしは半分聞き流しながらそっけなく答えて、着替えをするために自室がある二階へと上がった。