家の近所のドラッグストアまで、数分の距離。
龍崎組が近くにあるから、誰かに出くわす可能性もあるし、手は繋げない。
けれど手を繋げるギリギリまであたしたちは距離を縮め、当たり障りのない会話を繰り出していた。
内容は
「暑いな」とか
「腹減った」とか、ホントに他愛のない会話。
誰が何かを聞いてもおかしくないふつーの会話。
縮めた距離。
戒の手があたしの手に触れるか触れないかの―――距離で二人分の影がアスファルトに伸びている。
その一線を乗り越えてきたのは
戒の方だった。
アスファルトに伸びた影がそっと一つにつながり、戒の指先があたしの指先を絡め取る。
「だめ………だって……組員の誰かに見られたら……」
と手を離そうとすると
「誰も見てへんて」
戒の手がぎゅっと強くあたしの手を握る。まるで逃げていかないように。
この瞬間あたしは思った。
――――もっと、ドラッグストアが遠かったらいいのに。
けれどあたしの願いも虚しくそれから数分後ドラッグストアに到着しちまった。



