「一分しかないからなぁ、手短に言うわ。
一週間以内に東京入りしてくれへんか」
『東京……』
相手は少し考える素振りを見せたものの、数秒で
『難しいけどやってみるわ。この回線を使こてのコンタクトやもん。
速人(Hayato)も連れて行った方がええ?』
「ああ、二人一緒に来てくれ。
それからそれまでに調べてほしいもんがあるんやけど、明日にでも盛岡に飛んでくれへんか」
『盛岡?何でなん。うち、明日から鹿児島なんやけど』
ため息混じりで対馬 心は面倒そうに言う。
タブレットの時計を見ると残り20秒を切っていた。
「つべこべ言わんと飛ばんかい」
『それが人に物を頼む態度ぉ?』
苛々と唇を噛むと、隣で同じようにイヤホンをしていた響輔が口を開いた。
「心先生。俺、響輔ですけど、ほんまに緊急事態なんです。お願いします。
盛岡に飛んでください。調べてほしいことは後で送りますさかい」
『響輔??いやぁ久しぶりやね』
対馬 心の能天気な声を聞いて、苛立ちが募る。
俺は苛々とこめかみを掻いてイヤホンマイクを直すと
「無駄話してる暇はあらへんねん!」
そう怒鳴ると同時
『分かったわ。残り五秒―――間に合ったやろ?ほな。可愛いぼーやたち♪
一週間後会いましょ』
対馬 心の声が突然途切れ、砂嵐のような雑音だけが残った。
「ふーセーフ……しっかし、心のヤツ、相変わらずなやっちゃで」
苦い顔つきで耳からイヤホンマイクを抜き取ろうとした瞬間だった。
ザー……
砂嵐が一層強まった。
その雑音に混ざって女の声が聞こえてきた。
『この回線は安全なの?スネーク』
――――!!?
心じゃない女の声が聞こえてきて、俺と響輔は同じタイミングで目を開いた。



