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** 戒Side **



朔羅を彼女の部屋に運んで、朔羅は今―――


俺の膝の上に頭を乗せ、ちょっと落ち着いたのか目を閉じて眠っている。


「戒さん、何があったんですか」


響輔がベッドのすぐ下に膝を着き、俺たちの様子を見上げるようにして伺う。


その黒い目は心配と不安で暗く濁っていた。


「どうもこうも…見たまんまや。


鎮静剤飲むの止めたら急に怒鳴り出しやがった」


「鎮静剤を―――……」


響輔がいぶかしそうに眉を寄せ、俺は深いため息を吐いた。








「ああ。




朔羅の話を聞いてピンときた。





これは※オーバードーズや」






※身体あるいは精神にとって、急性の有害な作用が生じるような量によって薬物が使用されること。つまり薬物の過剰摂取です。


俺の言葉に響輔が目をいっぱいに開いた。


「市販されてる鎮静剤には中毒性のある危険な薬もある。朔羅は無意識のうちに薬を欲していたんだ」


「彼女は―――……何らかの薬物を摂取した―――と……」


「ああ。間違いない。ヤクや」


言い切った後、俺はベッドに拳を叩き付けた。


いつ、朔羅がそんな危険な薬を手にしたのか―――恐らく本人の意思ではないだろう。


ということは―――やはり。朔羅が変わったあの夜―――





「スネークの野郎、とんでもないクスリを朔羅に投薬しやがった」