けれど戒はそんなあたしのもやもやなんて露知らず
「風邪―――って感じにゃ見えないけど」
とあたしをまじまじと観察。
そんなに―――見んじゃねぇよ。
あたしは益々俯いて……てか下向くと鼻水が垂れそうになる。
慌てて横を向くとあたしはそっけなく言い放った。
「風邪だろ?頭痛もするし寒気も……熱はないけどな。鼻水が止まらない」
「頭痛に悪寒―――それに鼻水も……?」
戒が声を低めた。
けれどそんな微妙な声のトーンの変化すら気づかず、あたしは屈むと鎮痛剤の箱を取りあげようとした。
けれどそれを阻むように戒があたしの腕を、
ぐいっ
強く引いて阻止した。
「何すんだよ!」
「さっきも言うたやろ?飲み過ぎやて」
「だって頭が痛いんだもん!」
あたしは何故か怒鳴り声をあげていた。
何でこんな小さなことにイラつくんだろう。でもどうしようもなく怒りが先走る。
止められない。
「あたしが具合悪いのは――――お前が居ないからだろ!
お前があたしの傍に居ないから!!!」



