私は窓の外を眺める。 いつも私とタクトが行っていたマンションは、 高い建物なのでここからでもすぐに見つかった。 そして、 そのマンションの向かいには。 病院がある。 迂闊(うかつ)だった。 私とタクトが男から逃げた時に行った病院。 タクトが敷地内のことに詳しそうなのも、 当たり前だった。 いつもそこに通っているのなら。 私はぎゅっと手のひらを握り、 真っ白な病院の壁を見つめる。